文学放浪 | じつはぼくのくぼはつじ

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老いを認める日々のブログ

    久々に二階に上がった。震災で棚から飛び出した本が元の位置に戻っていた。あら、不思議?「本を棚に戻してくださいね」と妻に言われていたのだが、面倒なのでほっといたら自然に元に戻った。よくしたものである……?その本棚から何とは無しに取り出した一冊が、吉行淳之介著「私の文学放浪」角川文庫。ぱらぱらとめくって見る。気になった箇所があると、ページの隅を折る癖があるので、読み返す時は便利が良い


「ふむふむ、なるほど」

    併載されている「文学エッセイ」中の、「私はなぜ書くか」を読み深く肯き忘れていた青年時の熱く拗ねたような気分に暫し浸る。


「お父さ〜ん!何してるの?仕事に行く時間よ」

    階下からの妻の声に促され、わたしは階段を降りる。降りながら徐々に青年時の気分は消えて、降りきった時には文学臭の無い今の自分に戻っていた。少し残念な気もした。


2017.3記

    珍しく沢山の人に読んで貰えた記事だった。