男の世界~船乗り | じつはぼくのくぼはつじ

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 船乗り=男の世界=マンダム=ブロンソンで、マンダムのCMを載せようと思ったのだけど、どうもイメージが違う感じがして、男の世界=任侠=木枯し紋次郎となって主題歌を聴いたのだけど、どうもこれもピンと来ない。

 ところで今日はぼくの店、予想外の売り切れで早仕舞い。そこで昨日の続きを書こうと勇んで帰って来たのだけど、風呂に浸かって久しぶりにのんびりしたら気が抜けてしまった。で、気楽に船員の頃のことでも書いてお茶をにごそうかなと考えてパソコンに向かったのだが、ぼくが書こうと思っている文章(というほどのものではないけど)に合う曲が見つからない。なんとその作業に2時間掛けたけど、しっくりの曲が無い。最初に戻って、マンダム→紋次郎に行ったところで関連動画の中にあった曲が、これ!!
 
 ぼくが今から書こうと思っている内容とはいずれにしても関連が無いけど、まあ男同士の画ではあるし、友人のゲンさんや妻も好きなドラマだったみたいなので載せることにしました。

 で、きょうの雑談。
 たとえば夕飯のオカズなんかの事でケチをつけると言うか注文めいたことを言うと、きまって父親に「男は食べ物の事なんかでゴチャゴチャ言うな」と叱られた。「男子厨房に入らず」とも諭された。小さい頃始終そう言われて育ったおかげで、ぼくは食い物についてゴチャゴチャ言う男は嫌いだ。腹が減ってりゃなんでも美味い!!これが食物にたいする基本姿勢だ!!それでいいのだ!!イージーなのだ!!

 えーっと!?そうそう「男の世界、船乗り」の話しでした。

 船乗りと言う言葉がロマンチックな響きをもって迫って来ると感じるのは、ぼくだけではあるまい。大海原!昇る太陽!沈む夕陽!波にもてあそばれる木の葉の様に、板子一枚地獄の船で起居を共にする男の世界!ウイスキーのボトルが、そしてグラスが激しい横揺れとともに右に左に滑るテーブルを挟んで、よれよれの両切り煙草を口に咥えた男達が談笑しカードゲームに打ち興じる。下卑た笑い、ヤニ臭い息、したたる汗!!

 ぼくはそんな現代の野蛮を夢見て船に乗った。

 無いのですね、そんなもの。漁船、とりわけマグロ漁船にはそんな感じが残っていたのかも知れないけど、ぼくの乗ったカーゴ(貨物船)にはまるで無かった!

 陸(オカ)と一緒、あるいはそれ以上にちまちました世界なのですね、これが!?
 
 凪の日でも、食堂に集まる船員はテレビが映る間はテレビを見ている。酒なんかもチョビットしか飲まない。海が時化でもしたら船のリビングでもあるその食堂に誰も居ない。

「気持ち悪ぅないんか?お前?」
 用足しに起きて来た甲板長の言葉を聞き流し、右に左に滑りまくるボトルとグラスを見つめながら、ぼくは夜っぴて一人寂しく飲んだものだ。

 完全にサラリーマン化された社会でした。

 そして船上という狭い空間に閉じ込められた船乗りという名のサラリーマンは、やれオカズはいつも変わり映えがしないだの、ごはんが柔らかいだの硬いだの、味が濃いだの薄いだのと言っては、ボーイやオヤジさん(副コック)にねちねち文句を言うのだった。

「食い物の事で、男はゴチャゴチャ言うな!!」
 青白い肌の若者は褐色の船乗り達に向かってそう叫ぶと、照りつける日に焼かれた甲板に駆け上がり、東シナ海の青い海に飛び込んで消えた。


2012.11の記事